良質な社会に向けた 責任とアクション
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1141病とともに「生きる」を支える
担当コーディネーター
上智大学 総合人間科学部 心理学科
教授 横山 恭子KYOKO
YOKOYAMA生涯で「がん」に罹患する確率は、男性62%、女性47%といわれています。また、生涯で「がん」で死亡する確率は、男性25%、女性15%となっています。がんはすっかり身近な病気となりました。その「がん」の治療の進歩は目覚ましく、不治の病から慢性疾患への位置づけを変えてきています。ただ、治療が進歩したのは比較的最近のことですので、その治療の長期にわたる影響が注目を集めてきています。特に、身体や脳の成長過程にある小児がんの患者さんの晩期合併症の問題に取り組むのは、喫緊の課題だと言われています。この講義では、そのようながんの治療に取り組む子どもとその家族の問題について考えてみたいと思います。また壮年期の親ががんにかかったときには、社会人としてのご本人の支援を考えながら、その家族、特に子どもの支援にも心を砕く必要があります。第一線のビジネスマンにとって、今一度家族や家庭を振り返り、正面から向き合う機会にもなることでしょう。
*数字は全て国立がん研究センターがん情報サービス
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/index.html各回の講義テーマ
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病とともに「生きる」こと:特にがんとともに生きることについて考える
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病とともに生きることと働くこと:がんと就労
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小児期にがんを患うことの影響:晩期合併症の問題
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病とともに生きることにおける学校の意味
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社会参加への壁を低くするために:アピアランスケア
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がんの親を持った子どもの支援
予定講師陣
- ■桜井 なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社代表取締役社長 社会福祉士 精神保健福祉士 産業カウンセラー)
- ■副島 賢和(昭和大学大学院准教授)
- ■野澤 桂子(国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 アピアランス支援室長、臨床心理士)
- ■小林 真理子(放送大学教授、臨床心理士)
- ■上別府 圭子(東京大学医学部健康総合科学科教授)
- ■横山 恭子(上智大学教授)
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1142企業のCSR戦略
担当コーディネーター
上智大学 グローバル教育センター
特任教授 浦元 義照YOSHITERU
URAMOTOこの講座はすでにCSRを事業戦略として受け入れているかまたそうした計画を持っている企業の幹部候補者及びCSR担当者を対象としています。戦略的なCSRから得られるビジネス上のメリットから幅広いステークホールダーとの効果的な関係の構築を含むCSR戦略のデザインと実施に焦点を当てた講座です。企業がビジネスの社会貢献に努力したつもりが、ともすると逆に企業の評判を落とし、規制当局、社会投資家、NGOやキャンペーングループからのさまざまな追及を逃れようとする企業による広報活動と見なされる場合があります。当講座ではこれを、逆に、企業の評判・販売・生産性の向上などビジネスプロセスを改善し、財務上の利益をもたらし企業価値を高める機会を与えてくれます。 CSRの範囲が拡張する中で、CSRは戦略の基礎となりつつあります。そうすることによりビジネス、政府、市民社会、国際機関、個人が現在直面している課題を理解し、ビジネスと幅広いステークホルダーの間の進化する関係についての重要な分析と見通しを、具体例をあげながらビジネスモデルとして提供することを目的とします。
当講座は、社会におけるビジネスの進化のプロセスを理解し、CSRに取り組む理由と方法を具体例を通して学び、効果的なCSR戦略のデザインと実地方法を習得し、従業員や消費者、政府機関、一般市民、非政府組織を含む利害関係者の重要性を理解し、CSR戦略を総合的に理解していただける講座です。(全クラスに日英同時通訳あり)各回の講義テーマ
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CSRの歴史的背景・持続可能な発展と社会におけるビジネスの役割
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CSRのビジネスケース:グローバルサプライチェーン
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CSR戦略の企画と実施
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CSRの管理・評価・コミュニケーションとその限界
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ステークホールダーアナリシスとエンゲージメント:株主、従業員と消費者
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CSR、社会的課題と持続可能な成長
予定講師陣
- ■イオアナ ブルータ(ロンドン大学バークベック校准教授)
- ■浦元 義照(上智大学特任教授)
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1143ソシオ・エコシステムの社会科学
担当コーディネーター
上智大学
特任教授 矢野 誠MAKOTO
YANOアメリカのIT産業では、エコシステムという用語が広く用いられています。海や空や川があって、豊かな森や土壌があり、日の光が降り注ぐ中で、環境に適した生物が生まれ、育ち、次の世代へと引き継がれていく。シリコンバレーに代表されるアメリカのIT産業はそれと同じようなシステムに支えられているというわけです。
さまざまな人間の営みを支える社会経済も同じです。質の高い市場があって、それを支える法律や制度があり、優れた判断力、洞察力、好みに導かれ、さまざまな技術が生み出され、経済活動が営まれ、次の世代に引き継がれていく。明るい将来が見いだせる充実した生活を営むためには、そういうソシオ・エコシステムが不可欠です。本講義では、質の高い市場とは何か、どんな法や制度がそれを支えるのか、エコシステムを支える判断力、洞察力、好みとはどんなものか、を社会科学的視点から明らかにし、健全なソシオ・エコシステムのデザインを考えます。各回の講義テーマ
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迂回原理と社会科学的素養
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取引と契約
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不確実性と損害賠償
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市場の質のダイナミックス
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ニーズからシーズへ向けたイノベーション
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市場の質とソシオ・エコシステム
予定講師陣
- ■矢野 誠(上智大学特任教授、京都大学特任教授、経済産業研究所理事長)
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1241教養としてのジェンダー:
国際潮流から考える「ビジネスとジェンダー」担当コーディネーター
上智大学 法学部 地球環境法学科
教授 三浦 まりMARI
MIURA日本の男女格差(ジェンダー・ギャップ)が国際的に大きいことは、広く知られていますが、なぜ大きいのでしょうか? 格差を縮小するにはどうしたらいいのでしょうか?諸外国ではどのような取り組みが効果をあげているのでしょうか?本講座は日本のジェンダー・ギャップを切り口に、ジェンダー平等に関する基本的な事項を押さえていきます。そして、SDGsの枠組みの中で世界はどのような女性のエンパワーメントを目指しているのか、なぜ企業広告はしばしばジェンダーの観点から炎上してしまうのか、企業の常識と世間の常識はどう違うのか、なぜG7がジェンダーに力を入れるのかを探っていきます。さらに、女性活躍において共通点の多い韓国と日本を比較しながら、日韓関係をジェンダー視点で振り返ります。最後は女性リーダーの育てかたについて参加者と議論をします。
各回の講義テーマ
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世界が目指す女性のエンパワーメントとSDGs
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日本のジェンダー・ギャップを解消するには
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グローバル・イシューとしてのジェンダー平等(国連機構、G7を中心に)
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ジェンダーでなぜ広告が炎上するのか
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ジェンダー視点で考える日韓関係
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女性リーダーをどのように育てるか
予定講師陣
- ■大崎 麻子(ジェンダー・アクション・プラットフォーム理事、関西学院大学客員教授)
- ■林 陽子(弁護士、元国連女性差別撤廃委員会委員長)
- ■治部 れんげ(ジャーナリスト)
- ■申 琪榮(お茶の水女子大学教授)
- ■三浦 まり(上智大学教授)
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1242多文化共生社会論
担当コーディネーター
上智大学 総合人間科学部 心理学科
教授 久田 満MITSURU
HISATA2018年12月に出入国管理法等が改正され、2019年4月に施行されました。この改正によって多くの外国人労働者やその家族が長期間日本国内で生活を営むようになってくるでしょう。多文化社会となりつつある日本が直面する産業、教育、医療等の現場における諸問題について、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)と関連して紹介し、具体的な解決策を考えます。
また、心身障害者等のマイノリティと呼ばれる人々が直面する社会的問題と心理的問題について、精神医学や障害学の視点から、それぞれ理解を深めます。どんな世界でも、マイノリティが直面する課題として偏見やそれに基づく差別がありますが、偏見や差別がどのようなメカニズムで形成されるのかについて心理学の立場から解説し、解消法の実例を紹介します。 最後の総括では、これまでに学んできたことを基に、今後の日本社会の在り方について自由闊達に議論したいと思います。各回の講義テーマ
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SDGsと多文化共生社会
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障害学(disability studies)の基本
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障害者スポーツの現状と課題
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外国人労働者のメンタルヘルス-多文化精神医学からの理解と支援
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差別と偏見の心理学-なぜ人は差別するのか
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総括
予定講師陣
- ■田中 治彦(元上智大学教授)
- ■戸田 美佳子(上智大学助教)
- ■谷口 広明(上智大学講師)
- ■阿部 裕(四谷ゆいクリニック院長)
- ■久田 満(上智大学教授)
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1243サステナビリティ社会における企業の環境戦略
~法、政策、最前線の現場から〜
担当コーディネーター
上智大学 法学部 地球環境法学科
教授 北村 喜宣YOSHINOBU
KITAMURA企業活動と環境法といえば、これまでは、規制基準へのコンプライアンス(法令遵守)が中心となっていました。たしかに、産業廃棄物の不法投棄や工場排水の基準違反が報道されると、その企業には、大きな社会的ダメージが発生します。このため、企業は、環境法令遵守に相当の注意を払ってきましたが、ともすればそれは、工場・事業場における最低限度の取組みにとどまる傾向がありました。
「必要以上の取組み」を、マイナスと評価する企業もあります。しかし、そのような発想しかできない企業を、投資家はマイナス評価するようになっていています。企業は、社会という、より大きな枠組み・コンテキストのなかで、自社の発展を考えなければならないのです。
本講座においては、社会的存在である企業の環境活動のあり方を、環境コンプライアンス、CSR(企業の社会的責任)、SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境・社会・ガバナンス)というコンセプトのもとで検討し、具体的にどのような意思決定体制を整備し、その周知及び情報共有を含み、どのような措置を講じるべきなのかを検討します。ひとつの企業は、顧客、従業員、地域コミュニティ、同業他社、機関投資家、環境団体など、さまざまなアクターの「眼」のもとにあります。講義や討論を通じて、それぞれの企業にとっての方向性を探しましょう。各回の講義テーマ
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環境法政策におけるサステナビリティ
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SDGs社会における企業活動
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株主アクティビズムとは?
ESG視点の統合による企業価値向上とエンゲージメント -
クライメート・トランジション・ファイナンスの最新動向と今後
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サーキュラーエコノミーに関するEUの第2次政策パッケージおよび国際規格等の最新動向
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統合報告書の最新動向
予定講師陣
- ■北島 隆次(弁護士/TMI総合法律事務所)
- ■小野塚 惠美(カタリスト投資顧問株式会社 取締役副社長COO)
- ■藤井 良広(一般社団法人環境金融研究機構代表理事)
- ■喜多川 和典(公益財団法人日本生産性本部コンサルティング部エコ・マネジメント・センター長)
- ■後藤 敏彦(サステナビリティ日本フォーラム代表理事)
- ■北村 喜宣(上智大学教授)
- 共同企画者
- ■安達 宏之(有限会社 洛思社 代表取締役)
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1244マジョリティの特権を考える:
真のインクルージョンの実現のために担当コーディネーター
上智大学 外国語学部 英語学科
教授 出口 真紀子MAKIKO
DEGUCHI人は誰でもマジョリティ性とマイノリティ性のアイデンティティを持ち合わせていますが、マジョリティ性を多く持つ人は自分の特権(労なくして得る優位性)になかなか自分自身で気づくことができません。自分の特権に無自覚な人の多くは、社会的不平等とはマイノリティ側を不利な立場にするものだと捉えたとしても、マジョリティ側を優遇するものだという捉え方はしません。真の意味でダイバーシティとインクルージョンを実現するためには、今まで不問にされてきたマジョリティ側の特権や心理的特徴(態度・心理・行動・成長)に焦点を当て、特権を持つ側の責任と課題に迫る必要があります。内容としては、差別に「中立」は存在するか? 「平等(Equality)」と「公正(Equity)」の違いやマジョリティとマイノリティのアイデンティティ発達理論を取り上げます。
各回の講義テーマ
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特権の概念を学ぶ
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白人特権・日本人特権
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社会階級特権 アタッチメントと家庭環境の心理学
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男性特権
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異性愛者・シスジェンダー特権
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特権を持つ側の責任と課題
予定講師陣
- ■水木 理恵(福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センター助手)
- ■出口 真紀子(上智大学教授)
- ■伊藤 公雄(京都大学名誉教授、一般社団法人ホワイトリボンキャンペーン・ジャパン共同代表)
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