学長メッセージ

MESSAGE

学長
メッセージ

上智大学長 曄道 佳明

現代の社会変化は二つの相を成しているように思います。それは、間断なく訪れる予期せぬあるいは望まぬ事象により半ば強制的に余儀なくされる変化と、技術革新、人口問題などが複雑に絡み合う社会そのものの有り様の変遷から生じる変化です。前者のような短期の劇的な変化と、後者のような中期に移行する変化の螺旋の中で、個人も、組織も、そして社会も、学び続けながら新しい社会像を創っていく時代といえるでしょう。
人生100年と言われる中で、社会ではマルチステージへの対応を、と声高に叫ばれています。しかしながら、先述の変化の様相に鑑みるに、単なる対応ではなく、マルチステージそのものをデザインする力が要請されているのではないでしょうか。マルチステージを自らデザインする力の源泉となり得るものとして、向き合う分野、業種、職種に対する専門性やスキルが挙げられます。一方で、デザインする力とは、着想に始まり、構想を経て、実装に至るプロセスを踏破する力であると思います。私たちの着想や構想を支える“智力”とは、教養に他なりません。そして、自分の信念や志を支える力、社会の変化を見通す力も、教養あってこそ具備することができます。さらに言えば、蓄積される知識としてではなく、実践智として発揮される教養が必要とされるのだと思います。上智大学プロフェッショナル・スタディーズでは、異質から着想を、混沌から構想を、信念から実装を、そんな智の訓練の場を提供したいと考えます。
社会のグローバル化、デジタル化によって、私たちは否応なしに世界の土俵に引き上げられます。国際通用性のある教養は、多様性の中で人と人との信頼関係を築く支配的な要素になるでしょう。上智大学プロフェッショナル・スタディーズが、教養の実践智への昇華と、その国際通用性をもって、受講生に個性を磨く貴重な時間をもたらすことを切に願います。磨かれた個性が切磋琢磨する組織や社会は、私たち自身に、新たなステージへの大いなるヒントを与えてくれるものと確信します。

上智大学長 曄道 佳明