歴史、宗教に学ぶ
世界の俯瞰
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1121日本文化のダイバーシティ
担当コーディネーター
上智大学 文学部 国文学科
教授 長尾 直茂NAOSHIGE
NAGAO昨今ちまたでは“日本らしい”という言葉をたびたび耳にします。その言葉は時に、日本には古来から特有のすぐれた文化があり、それを忘れてはならないという危機意識をにじませる調子であったりしますが、その問題意識は果たして正しいのでしょうか。実のところ日本文化は度量が広く、これまで多くの外来の文化や思潮を取り込みながら豊かな自国の文化を形成して来たのであり、その意味で昔から多種多様な顔をもっていたのではないでしょうか。つまり、“日本らしい”ということは、多様な文化を有するという意味なのではないでしょうか。この講座では、これまで日本文化が吸収して来たものを具体的に例示しながら、日本文化の多様性を考えようと思います。
各回の講義テーマ
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日本文化の特質
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日本思想の背後にあるもの―儒教との関わり
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日本思想の華―武士道とは
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日本人の美意識―南画の美
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日本文化に見る中国の影響―日本漢詩
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日本らしさを考える―総括として
予定講師陣
- ■長尾 直茂(上智大学教授)
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1122グローバル・ヒストリーズ:
世界のつながりを紐解く歴史観担当コーディネーター
上智大学 外国語学部 英語学科
准教授 飯島 真里子MARIKO
IIJIMA近年歴史学の分野で注目されているグローバル・ヒストリーの視点を用いて、広域に影響を及ぼした歴史的現象や事例について考察します。グローバル・ヒストリーの特徴は、一国史の枠組みにとらわれず、国境を越えて移動するモノ・人・思想などを研究対象とすることで、地域・世界の「つながり」を歴史的に明らかにしていくプロセスにあります。この歴史学的探求は、単に過去を理解することではなく、私たちが生きる現代との「つながり」を見いだすプロセスでもあります。今回の講義では、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、アジア・太平洋地域などを舞台とし、それぞれの地域の専門家が越境的テーマ(例:環境、移民、ジェンダー、衣食)をグローバル・ヒストリーの視点から読み解いていきます。さらには、そのアプローチを現代社会の課題にどのように応用できるかについても考えていきます。
各回の講義テーマ
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移動からみるグローバル・ヒストリー:移民とコーヒー
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環境から問い直すグローバル・ヒストリー
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宗教からみるグローバル・ヒストリー:女性宣教師の活動から
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グローバルイシューとしての水:エジプトのオアシス村から
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近代女子教育から捉えるグローバル・ヒストリー
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グローバル・ファッション:アフリカンプリントの物語
予定講師陣
- ■小塩 和人(上智大学教授)
- ■岩崎 えり奈(上智大学教授)
- ■石井 紀子(上智大学教授)
- ■佐々木 一惠(法政大学教授)
- ■杉浦 未樹(法政大学教授)
- ■飯島 真里子(上智大学准教授)
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1123現代の東南アジア:
各国の指導者を通して考える歴史・政治・社会担当コーディネーター
上智大学
名誉教授 寺田 勇文TAKEFUMI
TERADA東南アジアは11の国から構成されており、近年、経済成長の著しい地域です。地域の呼び名としては「東南アジア」と一括されていますが、実は歴史面でも、宗教の点でも、言語や民族からみても、きわめて多様な性格を持った地域です。タイをのぞく東南アジア地域は、かつて欧米の植民地となりましたが、その宗主国はポルトガル、スペイン、英国、フランス、米国というように多様でした。
この講座では、東南アジアの6カ国 (フィリピン、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ビルマ(ミャンマー)、ベトナム) をとりあげ、それぞれの国の国民的指導者について、その生い立ち、指導者になるまでの道のり、指導者となった後の政策などを検討しながら、植民地からの独立、独立後の新しい国作り、日本との関係、さらに現在にいたるまでにたどってきた歴史を学びます。各回の講義テーマ
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フィリピン/フェルディナンド・マルコス(1917-1989)
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インドネシア/スカルノ(1901-1970)
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シンガポール/リー・クアン・ユー(1923-2015)
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マレーシア/マハティール(1925- )
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ビルマ(ミャンマー)/アウンサン(1915-1947)
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ベトナム/ホー・チ・ミン(1890-1969)
予定講師陣
- ■片山 裕(神戸大学名誉教授)
- ■福武 慎太郎(上智大学教授)
- ■岩崎 育夫(アジア研究者)
- ■久志本 裕子(上智大学准教授)
- ■根本 敬(上智大学教授)
- ■坪井 善明(早稲田大学名誉教授)
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1221世界最小国バチカンから
世界最大級の影響力を読み解く~教皇庁の歴史と外交から~
担当コーディネーター
上智大学 文学部 史学科
教授 川村 信三SHINZO
KAWAMURA2019年11月、バチカン市国元首であり、カトリック教会の最高指導者としてしられるローマ法王フランシスコが来日しました。1983年ヨハネ・パウロ二世の来日以来39年ぶりの法王来日に、カトリック教会関係者ばかりでなく、日本政府や各界関係者の熱い視線が注がれました。なぜローマ法王はこれほどの注目を世界中から集めるのか。キリスト教の歴史2000年にわたって繰り広げられてきたローマ法王と社会の関係から現代人が学ぶことは計り知れなく大きいことと思います。法王が居住する世界最小国家バチカンは、歴史および文化のみならず、現在では法王外交とよばれる特別な方法で世界にかかわりをもっています。現代の国家においてバチカンほど世界の注目をあびる例は他にありません。その最小国家の実力の虚実、その影響力を、バチカンにかかわりの深い識者に語っていただき、日本人としての理解を深めたいと思います。昨今では、日本の諸企業がバチカンとの連携で国際的なプロジェクトを立ち上げており、ビジネス・チャンスとしてのバチカンにも期待がかかっています。「バチカンを知って、世界を知る。」将来ある日本の企業人として是非とも深めていただきたいテーマです。各回にバチカン関係の識者を講師に招く輪講形式でおこないます。
三つの柱 1.バチカンという歴史と現代 2.世界三大情報収集機関として 3.バチカンに蓄積された情報:バチカン博物館・図書館・文書館(Museum, Library, Archives)個別テーマとしてはバチカンの外交、バチカン法王庁の組織と歴史、バチカンと日本バチカンの現代的問題 など各回の講義テーマ
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教会法学から見たバチカンとローマ法王
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大使としてかかわったバチカン外交とローマ法王
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ローマカトリック教会の外交(ローマ法王を迎えた日本とのかかわり)
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世界の政治情勢から読み解くバチカン外交とローマ法王
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ローマ法王の歴史にみるバチカンの役割
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バチカンの記憶(機密文書館、図書館、民俗博物館の役割と法王外交)
予定講師陣
- ■菅原 裕二(法王庁立グレゴリアン大学教授)
- ■上野 景文(元駐バチカン全権大使)
- ■松本 佐保(名古屋市立大学教授)
- ■川村 信三(上智大学教授)
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1222グローバル組織が直面する文化摩擦とその克服
~ローマ・カトリック教会の世界伝道の歴史に学ぶ~
担当コーディネーター
上智大学 名誉教授
イエズス会 日本管区長補佐 山岡 三治SANJI
YAMAOKA長い歴史を経て、今も存続しているどんな大組織も最初の姿のままで今に至っているわけではないでしょう。たくさんの挑戦や難題に直面して、自己変革や適応を経ていまの姿になっていると思えます。2千年の歴史を持つローマ・カトリック教会もその例にもれず、1世紀から現代にいたるまで世界のすみずみまで出かけていきましたが、現地の文化と摩擦を引き起こしたり、政治にまき込まれたり、内部分裂の危機も味わい、困難だらけの歴史でした。初期のギリシャ世界、ペルシャ、インド、中国、南米、日本などでの伝道の苦労も大きなものでした。しかし、今なお、根本のアイデンティティーを中核として維持し、世界のすみずみで存在する世界宗教として続き、信徒数も増えています。本講座では、教会や宣教師が出会った困難やそれへの対処の工夫の歴史を見つめることにより、種々の分野でグローバルに活躍する方々に発展的な学びが得られるようにと願っています。
各回の講義テーマ
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[序論]仏教の東漸(宗教の変容)と緩やかな一致、キリスト教が受けたギリシャ哲学の影響(教義の発展)、カトリックの組織・布教・養成システム
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ケルトと多神教的カトリック
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女神信仰・聖母信心と聖人たち
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南米のミッション(と解放の神学)
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中国大陸に入ったキリスト教(景教、フランシスコ会、イエズス会、プロテスタント)、7世紀長安の景教、13世紀モンゴルの景教とカトリック、17世紀イエズス会(マテオ・リッチたち)、近現代
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日本に入ったキリスト教、キリシタン時代(武士・茶人・キリシタン:高山右近)、潜伏キリシタンと教会群
予定講師陣
- ■ホアン・アイダル(上智大学教授)
- ■阿部 仲麻呂(上智大学非常勤講師)
- ■レンゾ・デ・ルカ(カトリックイエズス会日本管区長)
- ■山岡 三治(上智大学名誉教授)
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